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代表理事 挨拶

Dr.Akashi
日本放射線事故・災害医学会
代表理事 明石 眞言



2015年8月をもって、日本放射線事故・災害医学会の代表理事に就任致しました。

当学会は、放射線事故医療研究会として発足し、第1回の学術集会は、1997年8月29日に放射線医学総合研究所(放医研)にて開催され、約140名の医療関係者、放射線防護や保健物理の専門家、防災関係者などが参加しました。2013年7月1日には、日本放射線事故・災害医学会(Japanese Association for Radiation Accident/Disaster Medicine)として、新たに出発をいたしました。放射線事故と災害での医療について、学術的知見を共有し、より良い実現に向かって社会に対して提言を行い、また自らそれらを実践していくことを目指した当学会は、世界でも唯一のものと自負しております。長年にわたり、会を牽引してこられた初代代表理事である前川和彦先生の後任として、どのように会を維持発展させるべきか、責任の重さを感じております。

被ばく医療の基本概念は、「いつでも、どこでも、だれにでも最善の医療を提供すること」であり、原子力防災の最後のセーフティーネットです。当学会は決して大きなものではありませんが、「すべての緊急被ばく医療を円滑かつ実効あるものにする」ことを主な目的として、前身の研究会設立以来、被ばく医療や原子力災害に関わる様々な分野の専門家や関係者との関係構築、情報交換、国内外の緊急被ばく医療に関する最新情報の紹介を行ってきました。このような中で、2011年3月11日に東日本大震災が発生し、その地震、津波によって引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所事故では、これまで我々が経験したことのない大規模かつ長期にわたる被ばく医療の対応に当たることとなりました。この事故対応で、私たちの基本概念は正しく、被ばくや汚染があっても、行うべき医療は同じである、ということを再認識しました。

不慮の事態として放射線に被ばくをする事故の頻度は、決して大きくありません。しかしながら、世界では年間1件くらいの頻度で医療を必要とする被ばく事故は起きており、国内でも毎年1件程度の頻度で線量評価を必要とする事象が起きているといっても過言ではありません。放射線は、原子力施設や医療機関ばかりでなく、タイヤ、プラスティック、鉄鋼などの製造工場、血液センター等様々な領域で利用されており、放射線事故の可能性はゼロではありません。この様に頻度は低くとも、被ばく医療は重要な医療の一分野であり、頻度が少ない事象から得られた貴重な情報を発信していくことは、当学会の社会的な使命です。また人材の維持は言うまでもなく、将来の被ばく医療をになう専門家を育成することも求められています。低頻度による情報の少なさを補うために、国際機関とも綿密に連携していく所存です。

この様に、当学会として果たすべき役割は極めて大きく、我が国の被ばく医療のおかれている現状を正しく認識し、学会を運営していきたいと思います。会員諸氏のご協力を切に希望する次第であります。
何卒宜しくお願い致します。

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